ダブルスというのは2対2で戦う種目。
バドミントンにおけるシングルスとダブルスの違いは、当たりまえですが1つのコートに1人で入るのか、それとも2人で入るのか、というところです。
コートに2人で入るという事は、限りなく空きスペースが減るという事です。
空きスペースが減るという事は、シングルスだとノータッチが取りやすいのに比べて、ダブルスだとノータッチが取りにくくなるという事です。
さらにシングルスだと10本球を打たれれば自分1人で10本を打ち返すところを、ダブルスだと簡潔に言えば1人5本ずつ、状況によっては10本パートナーが打って、1本も自分が球を触らないということもあります。
それから、シングルスだとクリアーという大きな飛距離の長いショットを打つケースが多くなり、大きな展開が多くなる分、スピードがダブルスに比べると遅くなります。
ダブルスに関しては主に攻め、要するに後衛がスマッシュを打ち続け、それに対して前衛がチャンスを決めに行く、こういう攻めの展開があってのものなので、スピード感というものが非常に早くなりますね。
特にここ最近のダブルスの展開は、後衛がスマッシュを打ち、前衛が打つ、それに対してレシーブの返球速度が以前に比べるとはるかに速くなってきています。
単調にスマッシュを打つというより、スマッシュを打ち続けて前衛がそれにプラスするかのようにチャンス球を打ち続け、それに対して至近距離で打たれたものに対してもレシーバー側がしのぎきる。
そういった形で、大きな球をというよりかは、ある程度至近距離での戦いが多い分、スピード感が早くなり、そこが見ていての面白さのひとつとなりますね。
私は学生時代にシングルスをメインとしてやっていました。
ダブルスに関しても中学校で練習したり、中学校では個人戦でシングルスとダブルスどちらかしか出れませんが、高校生になるとどちらも出れるようになったのと、
高校の団体戦ではシングルスとダブルスを兼ねるといったところもあり結構ダブルスもやっていました。
ただメインとして日本一になったことがあるのはどっち?と言われれば、中学校も高校もシングルスという事になります。
そこから社会人になり、オリンピックという世界と戦うこととなったわけですが、
今でこそ日本のシングルスの選手たちはすごく強い子たちが多いんですけど、その当時はシングルスよりダブルスの方が世界では戦いやすい種目というところがありまして、私は社会人からメイン種目をダブルスに変えていきました。
しかし、なかなかシングルスの癖が抜けきらないもので、ダブルスの前衛に入った時に、ネット前をほぼタブーに近いとされているヘアピンで入るという事をしていました。
それに対して私の当時組んだパートナー(ライバルでもあり、高校生の時にインターハイのチャンピオンでもあった方。)と、まあちょいちょい喧嘩になるわけですよ。
「なんでヘアピンすんの!?」みたいな。
仕方ないとは言いわけにならないのですけれど、とっさにというより、シングルスの癖で無意識にやってしまうわけです。
そうやって怒られるのですが、そのパートナーの方がダブルスがうまいと私としては思っていたので、それに対して言い返せません。
そうしている内にパートナーと気まずくなってしまい、気まずくなるとお互いにイライラして、勝つために対戦相手をイライラさせろと言ってるのに、私たち2人の喧嘩が始まってしまうわけです。
喧嘩が始まると2人がイライラしているので必然的に結果は負けですよね。
相手にイライラさせられてるんじゃなくて、勝手に2人でイライラしているだけなんですから。
そんなところがダブルスにはあったりしますが、逆を言えば後衛で自分が打ち続けた結果、チャンスの球をパートナーが決めてくれた時の喜びや、
自分が前衛に入っていって良い球を出したことによってパートナーが決めてくれたとか、
そういう共同作業みたいなところがダブルスにはありますので、そこが楽しさのひとつになるのではないかなと私は思います。
シングルスで1人で21点を取るというのと、ダブルスだと2人で21点を取るというところでも点数は取りやすいし、逆を言えば2人で10回ずつミスをすれば20点失ってしまうので点数も取られやすい、という種目と言えるでしょう。
やはりダブルスの場合は2人で「こうしていこう!」「ああしていこう!」と、何かを考え、話し合う、そういうところはシングルスには無いです。
結束の力やパートナーを信頼する仲間意識が強い種目だなと思う面があります。
やはり自分の心が、「どうしよう、どうしよう!」となった時に、「私がなんとかするから。」と、言われれば頼りたくなるところもあります。
そういう点では私もダブルスをやっている皆さんには「なんだよー!おい出ろよー!」と言いたくなることもあると思いますが、そこで「いやそれ入れてくれれば、私がこうするから次取ってくれたらそれでいいよ。」
みたいな形で心遣いができる部分が多いところも、ダブルスの醍醐味で、楽しさのひとつではないかなと思います。
よく言う言葉が、「ダブルスは2人で作っていかなければいけない」です。
要するに、周りが作り上げるのは100にならないのがダブルスなんですよ。
例えばシングルスだと自分1人なので、「これでいいかな。」で終われちゃうんですけど、ダブルスだとやはり自分1人じゃないので、「ここはこうしていった方がいい。ああしていった方がいい。」といったものがあります。
その中で強いダブルスは、1+1が2じゃ勝てません。
算数的には1+1は2なわけですが、でもバドミントン式算数だと1+1はダブルスだったら、2以上なければ勝てないのです。
強いダブルスは1+1が3であったり4であったり5であったりと、その数が多ければ多いほどやはり強いんですよね。
ではなぜそれが1+1が2以上のものになるのかというと、やはり始めたての人たちのダブルスや、ダブルスで勝てない人たちはもう1+1は2なので、結局前と後ろとか、右と左などといった、漠然とした感じの守備範囲でしかないのです。
1+1が2以上というのは、1人が前に行っても、もう1人が前面をカバーできるとか、1人が前を詰めて行っても、その人のもう半面分をフォローしつつ他もフォローできるという、お互いが自分以外の役割にまで入っていけるというのが、2以上という事です。
もうひとつは、例えばダブルスで私なんかも昔経験があるんですけど、やはり組み始めというのは新鮮なんですよ。
組んでからの年数が浅いダブルスっていうのは2人の約束事が少ないんですよね。
例えば、真ん中に球が来た時に、ラケットをお互いにぶつけてしまう人たちが多いんですけど、実際わたし自身、1試合2セット3セットとある中の、スタートの1セット目の試合中で、ラケットが5本折れた事があるんですよ。
なぜかと言えば、真ん中の球を結局2人で手を出しに行ってしまい、ラケットがぶつかって5本折れちゃったんです。
「やっべ!この次のラケットが折れたらもうラケットが無いな。」と、なった時に、最終的な決断は何か?といったら、次から手を出さないんですよね。
ということは、相手からしてみれば狙い放題ということです。
やはり組み慣れているペアだと役割がしっかりできているので、どの球を誰が取ってどの球を誰が取るなどと、パターンとして誰が前で誰が後ろとか、そういう全ての役割・約束が限りなくしっかりしている分、2人の間に穴が無いんですよ。
要するに、1人が何かで抜けてももう1人がフォローに回れれば、穴が無くなります。
1人が1のことしかできなくても、もう1人が2や3の事ができてしまうのです。
穴ができるペアというのは、1人が1ヵ所を守ったらもう1人も1ヵ所しか守ってないので、残りの場所をフォローすることができずに穴となるのです。
だから結局1+1がたったの2なんですね。
下手すれば2以下というケースもあります。
やはり強いダブルスは、お互いがお互いのものを任せ、フォローするという体制がコートの中でしっかりとできている分、それが強さとなっているんです。
リオデジャネイロオリンピック金メダリストの松友・高橋ペアに関しては2人が前衛まで詰めるということもしっかりやりますし、ラケットがぶつかることもありません。
そういう相手に付け入る隙を与えないというところや、とどめを刺す時は単独1人でではなく、2人して刺しに行くというところが彼女たちの強さの秘訣じゃないかなと思います。
学生だと何年間も組むという事は少ないかも知れませんが、やはりお互いにいろいろな事を話し、それが喧嘩でも構わないので最終的にそれが解決し、プラスになっていけば良いと思います。
お互いが何をやろうとしているのか?とか、何を考えているのか?という事を知ることがダブルスで勝つための第一歩になるんじゃないかなと私は思います。
無言で振り返りもしなければ、声も掛けない、別れる寸前のカップルみたいな感じではなく、付き合い始めのカップルのように、何をしようとしてるんだろう?気になってしょうがない!
みたいな感じでパートナーを受け入れる体制があれば良いペアとなりますので、コミュニケーションをしっかりと持っていただきたいなと思います。
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